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屋久島研究講座

屋久島では年に何度か研究講座と題してさまざまな分野の自然科学系の研究者の方をお招きして講座を無料で受講できる。

今回の講座はサンゴについて

座名は「海山とともに暮らす」

講師「入川 暁之 氏」

入川さんは沖縄の慶良間諸島をfieldにしてサンゴに関するさまざまな活動をされていて広報の際には「琉球サンゴくん」という名前でメディアにでている

さて、日本のサンゴ礁に関しては依然として危機的状況が続いていて絶滅のスピードが近年加速化されて再生のスピードを遥かに上回っているそうです。

その要因というのは大きく2つあって

疫病や捕食動物の増加などの「自然要因」と人が直接または間接的に関わる「人的要因」の二種類があげられる。

破滅のプロセスを端的に説明すると

co2の増加などによる海水温の上昇→生態系のバランスが崩れオニヒトデの異常発生やサンゴを食べる微生物の異常発生+人的要因に起因する海洋汚染(土砂の流出、界面活性剤の垂れ流し)→絶滅!

サンゴが死滅するとどんな害をもたらすかというと

1.台風被害の拡大_コレは沖縄など亜熱帯地方の沿岸部は本来アウターリーフと呼ばれるサンゴ礁があり、これが天然の防波堤の役目を担っている。

2.漁業資源の減少_サンゴは海に暮らす魚や海洋生物にとって家のような存在。そこにはさまざまな生き物が生息している。
また死滅したサンゴにはシガテラと呼ばれる微生物がみられるようになり、それを食べた魚はシガテラを保有し生物濃縮された魚を人間が食べるとシガテラ中毒を引き起こす。

現在の状況ではどうあがいても絶滅を止めることは出来ないそうだ。ただ一人一人の小さな努力で遅らせることは出来るという。

一方、屋久島のサンゴの状況は幸いにもオニヒトデなどの異常発生等の危機的状況には陥っていないようだが土砂の流出などの被害は少なからず昔よりも拡大しているという。
 

しかしながらその一方で近年の海水温の上昇の影響で南九州一体でサンゴが増えているという不幸中の幸いとも呼べるべき事実もある。