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奄美加計呂麻シーカヤックツアー

 

4月のサバニ塾でグランストリーム大瀬さんにツアーサポートのお話を頂き、奄美大島に行ってきました。

奄美群島は同じ鹿児島県といえど屋久島から250キロほど離れており海で見ると吐噶喇列島を越えた先にある島になります。

 

私的には今までご縁がなく今回の訪問が初めての奄美になります。初めての場所というのはすべてが新鮮でとても楽しく思い出深い旅になりました。

 

目的地が決まれば次に決めるのは行く時期です。特にシーカヤッキングの場合は天候に左右されやすいのでなるべく天候の安定した時期を選ぶ必要があり、梅雨明けの太平洋高気圧が張りだしてくる7月上旬に例年のグランストリーム奄美加計呂麻ツアーは開催されます。今年は関西のカヤックチーム「alpakayak(アルパカヤック)」さんとのツアーでした。

 

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大瀬志郎が主宰するグランストリームは琵琶湖海津をベースにフェザークラフトカヤックを中心としたカヤックの旅を提案しています

 

そして最高な時期をチョイスしての奄美加計呂麻のシーカヤッキングツアーだったのですが残念ながら台風7号が台湾の南という日本の近海で突然発生しそのまま北上してくるという予想進路が発覚したのがツアー前日、台風7号の影響からは免れることは不可能なタフコンディション。そんな状況の中からのスタートでした。

 

朝起きるとネットの天気図と睨みあう生活でコンディションの変化を確認しつつも本来漕ぐ予定であった時間を停滞という形で過ごす前半戦でした。

 

停滞は漁師感覚でいうところの時化休み、シーカヤッキングとは表裏一体で停滞をいかに過ごすかで旅の良し悪しが変わっていくほどの重要な時間といえます。朝から酒をかっくらうも自由、筋トレに励むも自由、散歩に出かけるも自由と目の前に突然自由時間を突き付けられます。現代における最高の贅沢の一つですね。

 

でもまあ大抵は天気が荒れているのを理由に対してやることもなく怠惰に過ごしてしまいますがそれもまた楽し。

 

がしかしそんな贅沢な時間も身の安全が確保された空間があればこそ。台風が近づくとアルパカヤックの面々はレンタカーで名瀬、古仁屋の宿に避難。お客様を送り出すと大瀬、タカノリ、俺の3人は各々風力や風向きを計算しつつ陰になるような場所でテントを張り最後の晩餐をやどり浜の名店イソシギで食べているとオーナーのサチヨママが「あんたたちお店で寝てもいいわよ」という有り難いご慈悲を賜りまして無事スタッフ3人の安全が確保されました。

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 目の前の海を見ながらの天候判断。緊張の面持ちの面々

今回はサブガイドに沖縄から沖縄カヤックセンター仲村尚徳が加わり総勢11名の大所帯となりツアーが催行されました。

 

そしてついに停滞4日目にして早朝からカヤックを漕ぎ出し、小雨降る大島海峡を彷徨います。台風は過ぎたのですが依然として風速16メートル程の南風が前線に向かって吹き続け西日本各地で未曽有の水害をもたらした風です。天気図を見る限り等圧線も大きく風を吹かせる要素が見当たらなかったのですが沖縄の仲村さんに電話で確認するとインド洋の湿り気を帯びた熱帯の風がヒマラヤから東アジア全体に流れ込みそれが台風後の変化した前線に吹き込んでいるとの見解が得られました。しばらく吹き続きそうな気配だったので外洋には出ずに内海の中でのツアーになりました。

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上げ潮に乗り、やどり浜から順調に古仁屋を越えて西側に漕ぎ進め芝浦崎を越えて実久集落に入ると今回のツアー初めての太陽が顔を覗かせ実久のきれいなビーチに一同上陸し南国の透き通るような淡いブルーの海を堪能できました。(写真1枚目)

翌日は再び暴風で実久にて停滞、幸いにも雨は降らなかったのでアルパカの皆さんはバスで加計呂麻散策に出かけて私たちは明日からの天気予報を加味しフネを畳むことにしました。

 

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5mを越える大きなカヤックも畳んでしまえばバック一つにまとまるのもフォールディングカヤックの魅力の一つと言えます。背後に見える立派なバス停に2日間ビバークさせて頂きました。

 

 

結局カヤックを漕げたのは1日のみという短い時間でしたが停滞を含め現地の海ととことん向き合うことができるのがこうしたカヤックツアーの醍醐味なのだなぁと改めて感じることができました。

 

最後に今回の旅でお世話になりました、やどり浜イソシギのサチヨさん幸久さん、ocean glass の熊崎さん、加計呂麻ガイドのユキオさん、古仁屋のパドル職人、松葉さん 本当にありがとうございました。

ぜひ、いつの日かまた訪れたい場所の一つになりました。

 

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